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ボロブドゥール遺跡

2008/02/03 11:53:08 | 世界の遺跡 | コメント:0件




ボロブドゥール遺跡は、インドネシアのジャワ島中部にある、石造りの巨大な仏教遺跡です。

世界最大級の仏教寺院とされ、世界三大仏教遺跡の一つでもあります。

イスラム教徒が大半を占める現在のインドネシアであっても、

仏教寺院として、また重要な観光施設として大切に保存されています。

この遺跡は、長い間火山灰に埋もれていましたが、

1800年代初頭、イギリス人のジャワ提督代理により発見され、

1800年代中頃に、発掘が行われました。

その後、遺跡保存のため、一度埋め戻されましたが、1900年代に入り、再発掘が行われました。

1960年代初頭には、地盤沈下等により崩壊の危機にありましたが、

ユネスコ主導のもと、修復工事が行われました。

1991年に世界遺産登録がなされましたが、2006年のジャワ島中部地震により、

遺跡の一部が崩壊したため、修復のための調査が行われています。



ボロブドゥール寺院は、世界最大級の仏塔(ストゥーパ)です。

8世紀後半に、シャイレーンドラ朝により建造されました。

丘の上にそびえ立つ、美しい景観を持っており、寺院でありながら内部空間が無いのが特徴です。

当時、インドから東南アジアに伝播した仏教は小乗仏教でしたが、

シャイレーンドラ王家は、大乗仏教を奉じていたことから、ボロブドゥールは大乗仏教寺院となりました。



ボロブドゥール寺院は、仏塔(ストゥーパ)とはいうものの、階段ピラミッドに近い形状をしています。

一番下部が、基壇、その上に5層にわたる方形壇、その上が3層の円形壇という、

9層からなる構造を持っており、円形壇の上部には、釣鐘状のストゥーパが72基築かれています。

この3壇の構造は、仏教でいう三界(欲界・色界・無色界)を表しているとされます。

基壇には、分別善悪応報経のレリーフが施され、

方形壇の縁は壁形式で、各層の内側は回廊になっており、総延長は5㎞にも及びます。

回廊には、仏教説話にもとづいた1460ものレリーフが施され、

外壁には432体の等身大の仏像が納められています。

また、上部の72基の釣鐘状のストゥーパ内には、釈迦如来が1体ずつ納められており、

合計504体の仏像が納められています。

上部の72基のストゥーパのうち、1基は釣鐘状をしておらず、開放型となっており、

釈迦如来像を直接見ることができます。



ストゥーパとは、仏舎利(釈迦の遺骨、棺・祭壇等の灰)を奉納するものであり、いわば「釈迦の墓」です。

このストゥーパですが、日本にも伝わっていることをご存知でしょうか。

お盆やお彼岸にお墓参りに行ったときによく見かける、お墓の横に立ててある細い板。

「卒塔婆(そとば)」というものですが、「ストゥーパ」が語源であると言われています。

また、建造物としてのストゥーパも、各地に存在します。

日本のストゥーパは、木材で建てられているものが殆どで、法隆寺の五重塔などが有名です。

飛鳥寺周辺で発掘調査が行われたとき、法興寺の遺構から、木箱に収められた舎利容器が発見されました。



ボロブドゥールは、巨大な一つの曼荼羅になっているといわれます。

曼荼羅は、胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅があり、密教の世界観を表わしたものです。


 胎蔵曼荼羅は、院と呼ばれる12の区画で分かれており、

 中心が「中台八葉院」で、胎蔵界大日如来が位置します。

 大日如来の周囲には、宝幢・開敷華王・無量寿・天鼓雷音の4体の如来と、

 普賢菩薩・文殊師利菩薩・観自在菩薩・慈氏菩薩の4体の菩薩の計8体が位置します。

 「中台八葉院」の周囲には、「遍知院」「持明院」「釈迦院」「虚空蔵院」

 「文殊院」「蘇悉地院」「蓮華部院」「地蔵院」「金剛手院」「除蓋障院」があり、

 その外周に「外金剛部院」が位置します。

 
 金剛界曼荼羅は、会(え)と呼ばれる9会の曼荼羅の集合体です。

 「成身会」「三昧耶会」「微細会」「供養会」「四印会」「一印会」

 「理趣会」「降三世会」「降三世三昧耶会」からなり、

 すべての会の中尊が、大日如来です。

 ただし、「理趣会」の中尊は金剛薩凱、「降三世会」「降三世三昧耶会」の中尊は降三世明王ですが、

 この二尊も大日如来の悟りが形を変えたものです。

 中心となる「成身会」には、中尊である大日如来の東南西北に、

 阿しゅく如来・宝生如来・阿弥陀如来・不空成就如来の4如来が位置し、

 5如来を合わせて金剛界五仏または五智如来といいます。


少し話が横道にそれましたが、ボロブドゥール遺跡の外壁にある432体の仏像は、

金剛界曼荼羅「成身会」の4如来の印を結んでいます。

東側が「阿しゅく如来」、南側が「宝生如来」、

西側が「阿弥陀如来」、北側が「不空成就如来」となっています。



ボロブドゥール寺院は、上記のとおりシャイレーンドラ朝により建造されました。

シャイレーンドラ朝の起源は、まだよく分かっていないのですが、

8世紀中頃、スマトラ島のシュリーヴィジャヤ王国が、ジャワ島に進出し、

当時ジャワ島を支配していた、ヒンドゥー勢力の古マタラム王国勢力をジャワ島東部へと追いやり、

建国したとされます。

シャイレーンドラ朝は、シュリーヴィジャヤ王国と関係が深く、

シャイレーンドラ朝とシュリーヴィジャヤ王国は、非常に友好的であり、婚姻関係でもありました。

8世紀後半になると国力が増大し、インドシナ半島まで勢力を伸ばし、

真臘(後のクメール王朝)の一部を支配していたとされ、

クメール王朝に大乗仏教を伝えたとされます。

しかし、9世紀中頃になると、ヒンドゥー勢力の古マタラム王国が勢力を盛り返し、

シャイレーンドラ朝はジャワ島から追いやられ、シュリーヴィジャヤ王国と合邦します。

それにより、ジャワ島は大乗仏教が衰え、再度ヒンドゥー教が盛んになっていきます。






関係するクエスト等 ( )は発見物

 眠り続けた遺跡(ボロブドゥール遺跡):カリカット 視認7 宗教学9 インド諸語

 阿しゅく如来像(阿しゅく如来):カリカット 探索5 宗教学7 開錠5

 宝生如来像(宝生如来):カリカット 探索7 宗教学9 開錠7

 阿弥陀如来像(阿弥陀如来):アデン 探索6 宗教学8 開錠6

 不空成就如来像(不空成就如来):ジャカルタ 探索7 宗教学9 開錠7

 釈迦牟尼仏像(釈迦牟尼仏像):カリカット 探索5 宗教学7 開錠5

 観世音菩薩像(観世音菩薩):アデン 探索6 宗教学8 開錠6

 因果応報の物語(分別善悪応報経):カリカット 探索4 宗教学6 開錠4
 
 

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