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土砂災害(特別)警戒区域とソーラー発電

2021/07/04 21:00:00 | 三重県全般 | コメント:4件

木曜日から大雨が続きましたね。

静岡県、特に熱海市あたりの土石流の情報を、テレビで見ていました。

ほんとうに大きな災害で、ものすごい被害が出ています。

現在、安否が分からない方のご無事をお祈り申し上げます。

そして、お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。



さて、今回はちょっと難しいお話をしたいと思います。

それは「土砂災害(特別)警戒区域」のお話です。



土砂災害とは、大きく3つに分かれます。

「土石流」

これは、谷筋で山腹が崩落し、水と土砂が一緒になって、ものすごい勢いで流れ下る現象。

いわゆる「山崩れ」です。

今回熱海市で起こった災害は、土石流災害です。

「急傾斜地の崩壊」

家の裏の崖などが、崩落する現象。いわゆる「がけ崩れ」です。

「地すべり」

大きな土塊が、ゆっくりゆっくりと動きだす現象。



数年前より、全国的にこれらの地形の調査が行われ、現在では、

土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」の

ふたつの区域が指定されています。

この「土砂災害警戒区域」は、イエローゾーンと呼ばれ、

土石流の場合

谷の出口より上から見て30°の範囲で、土地の傾斜が2°以上の地形。

急傾斜地の場合

崖の角度が30°以上5m以上の地形。


です。

この範囲がすべて、「土砂災害警戒区域」となります。

この区域は、土砂災害によって生命身体に危険が生じる恐れのある範囲

となります。



次に「土砂災害特別警戒区域」ですが、これはレッドゾーンと呼ばれます。

この土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域の中に含まれ、

この区域は、土砂災害によって家などに被害が生じる恐れのある範囲

となります。

「一般的な日本の家屋が耐えられない力」が発生する可能性のある場所を、

計算して出します。



要するに、

家の中にいても被害に遭う恐れがあるのがレッドゾーン

家は壊れないですが、家の外で被害に遭う恐れがあるのがイエローゾーンです。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」には、特に規制はありませんが、

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」には、規制がかかります。

レッドゾーン内で新築・増築などを行う場合は、建築確認申請時に、

がけ側の壁を厚くするなどの補強が必要となることがあります。

また、開発申請を行う場合は、法面の補強などを行うことが条件となるようです。



これら、「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」を基に、

土砂災害ハザードマップが作成されています。

どこが危険なのか。

どういう時が危険なのか。

どこに逃げればよいのか。


が、ハザードマップに載っていると思いますので、しっかり確認しておきましょう。

また、大雨が降った場合は、行政からの指示を待つことなく、

地域で声を掛けあって、早め早めの避難が大切だと思います。



余談になりますが、テレビ番組で、ハザードマップを出して解説されていました。

その中で、「今回の災害は、想定外のことが想定外の場所でおきたわけではない」

と言ってましたが、

こちらが熱海市の土砂災害ハザードマップ。

IMG_2010b.jpg

青く○をしたところが、規制線が張られている場所付近です。

上で説明したとおり、この付近は土砂災害警戒区域(イエローゾーン)となっています。

3本程度の渓流から土砂の流出が想定されていたようですが、

地状とテレビの映像から見ると、土石流の発生した渓流は北西側のものでしょうか。

この付近は土砂災害警戒区域(イエローゾーン)ですが、多くの家屋が被災されているので、

想定外の土石流が発生したと、考えるべきだと思います。

また、別の報道では、大規模な土石流が発生する前に、家が潰れていたようなので、

急傾斜地と土石流の複合的な災害が起きたように考えられます。



土砂災害(特別)警戒区域には、雨量はまったく関係ありません。

他にも地質・土質や植生なども関係ありません。

あくまで地形で考えるものであって、

「こういう地形に住んでいると危険ですよ」と、

危険な箇所を住民に周知するためのものです。

イエローゾーンだからと油断することなく、想定外の災害はおきるものだとの認識が

必要なのでしょうね。



街中に住んでいると、遠い世界のお話でしょうが、

山間地だと、イエロー・レッドゾーンで埋め尽くされて、どこに住めばいいの?という感じです。

まさしく、上のハザードマップのような雰囲気になります。

逆に街中ですと、洪水や津波・高潮のほうが現実的でしょう。

ハザードマップは、いろんな種類がありますから、

いちど地域のハザードマップを読み込んでおくのが良いと思いますよ。







今回の熱海市の災害では、気になる情報が出ていますね。

災害箇所の上流に、メガソーラー(太陽光発電)があり、これが原因ではないかとのこと。

これが本当かどうかは、今後の情報を待たないといけませんが、

このソーラーパネルについては、特に田舎では、同様の心配が噴出しています。



この件については、過去に一度記事にしたことがあります。
(以下過去記事から抜粋)

田舎で話しているとよく話題に出るのが、ソーラーの先行き不安。

ソーラー事業者は、土地を買ってソーラーを設置し、転売したい。

田舎のお年寄りは、若者がおらず、土地を遊ばせているだけなので、

売って現金にしてしまいたい。

この両者の利害が一致して、田舎ではソーラーは爆発的に広がっています。

一時は、「ソーラー畑」という言葉が使われましたが、

現在は山を切り開いて、ソーラーを設置するところまで出始めています。

そして地元の同意を得てやっていないため、設置されると地元はたいへん困るわけです。

木々を切って、山を削って設置するため、土砂崩れの起きやすい地形に

変えられてしまうわけですから。

そして、出来た後に文句を言っても、土地が転売されていることも多いようです。



これに規制はできるのか?

実は推進する法律はあっても、規制する法律はないようです。

もともと、地方自治体には、通称「がけ条例」というものがあって、

がけなどの急峻な地形に、家屋などを建てるのを規制するものがあり、

また、ここ数年の間、土砂災害防止法による特別警戒区域というものが設定されていて、

この区域に家屋などを建てる場合には、家の補強などが必要になっています。

でもそんな場所にソーラーは作られませんからね。



ただ、林地開発許可制度というものがありまして、

この許可を取らない限り、林地を開発することができません。

しかし、これは1ha(ヘクタール)以上の話なんです。

1haは、100m×100mの土地ですから、

小規模に開発するぶんには、規制がかからないんです・・・。

といいうふうに、完全に規制する法律はなく、開発し放題になっているわけです。


(以上過去記事より抜粋)



この歯止めがかからないソーラー発電ですが、

これは、民主党の菅直人政権時に成立したFIT法が基になっています。

いわゆる「固定価格買い取り制度」というやつで、

この制度自体、今ではただの負の遺産です。

現物としてのソーラーパネルも、じきに負の遺産となるでしょうし、

なんてものを将来に残してしまったのでしょう。

このソーラー発電、一刻も早く、規制する法律を作ってもらわないと、

田舎はボロボロになってしまいますよ・・・。

そして、今回の大災害。

原因に関係しているのでしょうかねぇ。




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コメント

2021/07/05(月) 21:34:54 | URL | 今から #-
この頃、驚くような災害の被害ばかり起こりますよね。
大黒さんの記事を見た後で自分の住む地域のHPを見て、地区ごとに細かく分析されている防災のページがあった事を初めて知りました。
宣伝しないからあまり目立たないけれど、
市役所頑張っているのだなと、もっと地域のHP見てみようと思いました。

太陽光発電については、山を開拓して作るので環境が悪化してしまうのですね。
殺風景になるだけでなく、危険も伴うのですね。

2021/07/06(火) 20:05:34 | URL | poe2har #-
あのあたりは何回も車で走っているので、なんとなんとでした...
自然の怖さもありますが、人災の一面もあるようですね。

今から さん

2021/07/06(火) 20:24:44 | URL | 大暗黒天. #-
自分で調べるというのも、防災への第一歩ですよね!
GJです^^

太陽光発電は、どこに行っても嫌われ者です。
土砂災害の危険もありますが、10年後20年後は、今度は廃墟としての危険がありますからねぇ。

poe2har さん

2021/07/06(火) 20:30:14 | URL | 大暗黒天. #-
崩れた後の画像なので、分かりにくいですけど、56,000m3もの土砂ですから、谷に埋めてあったのでしょうかねぇ。
人災かどうか、しっかりと調べてもらいたいものです。

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